「空を夢みる籠の鳥」

猫の独り言
ショートでnanaというアプリ用に書いた勿です。
花純:花魁になれなかった遊女
夕霧:将来を期待される振袖新造
花純:のう…夕霧や…この空は
どこまでつづいているのでありんしょう…

夕霧:花純ねぇ様…うちにもわかりません

でももしこの空の先に…

うちの事を抱きしめてくれる人がおったら…

どれだけ幸せだろうかと願ごうてしまいます


花純:…夕霧はまこと可愛らしゅうて…
わっちにもそんな時があったのかと…
思わず目を細めてしまうでありんす

夕霧:ねぇさまは…空の先に何を願うのでありますか?


花純:わっちは…願う事はやめたのでありんす…
どれだけ夢みようと…叶わないものと知ってしもうた…

夕霧:花純ねぇさま…


花純:夕霧…もしこの空がどこかこの籠から違う世に続く道へと繋がっていたなら…
迷わずにつかむのでありんすぇ…

夕霧:花純ねぇさま…今日のねぇさまは物悲しゅうて…

うち…おそろしい…

花純:ふふ…わっちは花魁にはなれんせんした…
それでも…わっちは幸せでありんした…
夕霧…花魁へ登りつめるのでありんすえ…

夕霧:花純ねぇさまは…水の中へと…

帰らぬ人となりもうした…

籠の鳥は…籠から出たら…生路(いきみち)を見失なう

…それもまた…定め…


夕霧:花純ねぇさま…あれからどれだけの歳月が流れたのでありんしょう

うちはやはりまだこの籠の中から空を眺めているのでありんす

ねぇさまとの約束、「花魁」へわっちは登り詰める事は出来やんした

でも、うちはうちのままで幸せになる夢を捨てられんせんでしたが、それももう叶わぬ夢

わっちは、この籠の中で尾を広げる雄の孔雀

尾羽が削げ落ち、雌の羽の色に色褪せてしまえば朽ち果てる定めなのだと…


さぁ…今宵も…ひと時の籠の中の夢を…

我が身で演じて…みせんしょう





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