「merry-go-round 第1章」

​​「メリーゴーラウンド 一章」
​​ :
​​ :音無レオ 少年・少年M・レオM兼ねます。
​​ :ヴィヴィ ヴィヴィM・女1・女2・女3兼ねます。
​​少年:『痛いよ・・・お願いだから・・・やめて・・・』
​​女1:「何あたりまえな事言ってるの?!痛みがないとあなたは分からないじゃない?教えてあげてるのよ?感謝しなさい!」
​​少年:『もう嫌だよ…、叩かれたくない!いい子にしてたよ?何も口にもしてない・・・』
​​女1:「偉そうな口きくのねぇ、そういうところがムカつくのよ!その口刻んであげましょうか?」
​​少年:『はっ!!やだ・・・もう何も言わないから・・・いい子にしてるから・・・』
​​女1:「へぇ、いい子ねぇ?生きてるだけで害虫なあなたがいい子になれるの?面白いわね…(笑)」
​​少年:『ずっとわからないフリをしてきた…。そう、・・・僕は。いらない子…』
​​ :
​​ :場面転換 現在一
​​ :
​​女2:ねぇ、次はいつならあいてるの?
​​レオ:個人的な問いには答えられないので…
​​女2:あら、残念。とても相性良かったから、個別でも会えないかなって思ったのに。
​​レオ:すみません。他の方はどうされてるのか知りませんが、個人的な契約はする気がないので。
​​女2:そう。あなたがもらっている一回の料金の3倍は出すけど?
​​レオ:・・・お金だけの問題ではないので。
​​女2:ふぅん…、生意気な口も利けるのね?
​​レオ:気分を害したのであれば、謝ります。オレは口を開けば、相手の気分を損なってしまう物をもっているらしいので。
​​女2:…まぁいいわ。じゃあ、またお店を通して予約でもする。はいこれ。約束の報酬ね?
​​レオ:・・・あれ、五枚多いですが…?
​​女2:帰りに何か美味しいものでも食べなさい?あなた、少し痩せすぎよ?
​​レオ:あまり食べる事にも興味がないので・・・
​​女2:でも、セックスには興味があるんだ?
​​レオ:・・・そういう訳でも、ないですけど
​​女2:でもあなた、すごくよかったわ?排他的な割に、どこか激しさを持っていて。久しぶりに、抱くより抱かれる事に夢中になれた気がする。
​​レオ:…それならよかった。失礼かもしれませんが、「LGBT」なんですか?
​​女2:あはは!聞きにくい事とかでも躊躇なく聞くのね。尚更気に入ったわ。私は基本、女性の身体が好きなの。愛されるより愛していたい、触れられるより、触れていたいの。でも面白いものね?
​​レオ:何がです?
​​女2:身体が女だからなのか、ふっと…貫(つらぬ)かれたくなるのよ。頭や意思とは反して、身体の本能みたいなものが湧き出てくるの。
​​レオ:・・・なるほど。
​​女2:でも、逆に。男に心まで愛されたら虫唾が走る。柔らかな肌に、女性ならではの柔軟性。私が恋愛対象は女性なのよ。だから、無性に身体を虐めたくなる時だけ、このクラブで満たしてるわけ。
​​レオ:いいんじゃないですか?性別なんかどうでもいい。愛があるから抱く?抱かれる?オレからすれば、その言葉自体が偽善にしか思えない。
​​女2:あら、随分と冷めてるのね。まだ若いからかしら?
​​レオ:どうなんでしょうか?考えて答えを出すより、生きる為の本能に従ったら、こんな生き方になっただけです。
​​女2:・・・面白い子ね。ところであなたの名前の「レオ」意味ってあったりするの?
​​レオ:ないです。ただ、独りでも生き抜ける様に。だから「レオ」みたいですけど。
​​女2:なるほどね。「レオ」楽しかったわ。また連絡する。
​​レオ:社交辞令は好きではないので、待ったりはしません。お好きな時に、お好きなように。
​​女2:あははは!そうね!でもあなた、この業界入ったばかりでしょ?でもきっとレオは、這い上がる予感する、でも自分を見失わない様にね・・・?
​​レオ:オレに失うものは最初から何もないので大丈夫ですよ?では、失礼します。
​​ :
​​0:扉の閉まる音
​​ :
​​0:回想 一
​​少年:いい子にする・・・、いい子になるから。。。
​​女1:誰が食べ物口にしていいっていったの?
​​少年:・・・だって・・・お腹が減りすぎて・・・
​​女1:なら、奉仕しなさいよ。誰が役にも立たず、喰らってんの?ふざけんじゃないわよ!(顔を何度も打つ)
​​少年:・・・ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…もう、ぶたないで…
​​女1:ほら、食べなくても。顔、膨らんできたわよ?それで十分じゃない?
​​少年:…死んじゃう…お願いだから…、食べ物ください…
​​女1:死ねばいいじゃない?でも、独り勝手に見えないところで死んでよ?気持ち悪いから・・・
​​少年:…何でもします。だから、食べ物…ください・・・
​​女1:じゃあ。ほら、ここ舐めてみなさいよ。うまく出来たら、考えてあげる。
​​少年:…わかった
​​女1:はぁ?わかりました!でしょ?!
​​少年:…わかり、ました…
​​ :
​​少年M:湿った音が鳴り響く部屋の中で、女の気持ち悪い声が空気を震わせていく…
​​少年M:その声が甲高くなるほどに、舌先に溢れ流れ出る透明な液体達…
​​少年M:生きる為に…這いつくばる己の姿
​​少年M:なぜ生きなければいけないのか?
​​少年M:死ぬ方が楽なのか?
​​少年M:分かるわけもないままに…
​​少年M:ただ、わかることは。思考すればみじめで、生きていることに喜びも何もない世界、考える事を捨て、食べ物水欲しさに、生きる意味も分からないまま、生に縋りついている日々
​​少年M:その中でこみ上げてくるどす黒い何かが、生が繋がっていく程に、蔓延(はびこ)っていく
​​少年M:死が目の前にぶら下がる中で、必死に縋りつく理由もわからない本能
​​少年M:このまま、終わるぐらいなら・・・!
​​少年M:オレの手で終わらせてやる。誰かの手で死んでやるもんか・・・
​​少年M:必ず。オレの手で牛耳ってやる・・・
​​少年M:仮面なら・・・いくらでも被ってやる!
​​ :
​​0:場面転換 現在 二
​​女3:そんなに舐めてはダメ…よ…汚い、わ…!?
​​レオ:・・・好きでしょう?舐められるの…
​​女3:汚いって言ってるじゃない…どうし…て…聞くの…?
​​レオ:・・・ダメとか思ってもない事口にするから、心犯されたいのに言い訳するからでしょう…?
​​女3:やだ・・・、ホントにおかしくなる・・・レオ・・・離して…
​​レオ:おかしくなればいい。そうなりたくてオレを呼んだんだ、貴女は。
​​女3:・・・バカ‥‥っ・・・あぁ、ダメ・・・
​​レオ:面倒な建前は不必要でしょう?貴女が望むままに犯してあげる。目で、体で・・・。
​​女3:・・・いい・・もっと視姦(しかん)されたい・・・、私は、闇に堕ちる・・・違う…すでに堕ちてるわ・・・!
​​レオ:ほら・・・隠しているもの、全て・・・貴女の闇に光をあててあげる。どれだけ綺麗に着飾っていても、人は闇を抱えてるんだ。見せてよ・・・全て曝(さら)け出せばいい…
​​女3:・・・私は・・・あの日を、忘れられないの!!
​​レオ:あぁ、ゆっくり受け止めよう・・・
​​女3:あの日私は、・・・無理やり引きずられて、路地裏で・・・身体を蹂躙された・・・奥まで何度も何度も・・・
​​レオ:ほら・・・素直になれば、こんなに華の蜜が、溢れてきてる・・・
​​女3:・・・吐きそうなほど蒸し暑い中、立ったまま身体を貫かれ、吐き出すだけ体液を浴びせそいつらはいなくなった・・・
​​レオ:その日・・・闇に突き落とされ、貴女は傷を隠し、それが膿んだ…
​​女3:誰にも言えない!言えるわけない!!許せない、今でも反吐が出そう!なのに…なのに身体は、無理やりじゃなきゃ感じれなくなった!!!
​​レオ:心と体の矛盾・・・吐きだせないものの生りの果てに、果実の様に腐り往く。人は醜い生き物だ、オレもそうだよ・・・?
​​女3:えぐられ、切り刻まれた心とは裏腹に・・・あぁっ・・・もっと、恥ずかしい私をみて…?
​​女3:誰にも言えなかった私の闇を…、誰かに知って欲しかった…、この矛盾だらけの自分の本性を…
​​レオ:あぁ。全て吐き出していい・・・オレもそれで学び救われる。。。
​​0:間
​​女3:あの日以来初めて・・・本当の自分と向き合えた気がする
​​レオ:・・・それはよかった
​​女3:レオ、あなたは不思議な人ね?
​​レオ:そう?何も考えてないだけだよ…
​​女3:嘘つきね。あなたは相手の闇を引き出して、受け入れてそれごと快楽へと引きずり込む。終わった後、吐き出した秘密が、共犯者みたいに感じて、孤独な想いが救われる。そんなセックス。
​​レオ:・・・そんな綺麗なものじゃない
​​女3:でも、今の私はとても清々しい気分よ
​​レオ:オレという存在が役に立てたとすれば、光栄なことだね…
​​女3:また・・・予約していい?
​​レオ:「あなたを本気で愛してくれる人を手放した時」には、ぜひ。
​​女3:あはは!レオ、欲がないのね。でもあなたの噂は、この数か月でこの界隈ですごく広がったの。なかなか予約が取れなくなってるって聞いたわ?
​​レオ:オレにはわからない。それに、オレは自分が救われるほどの闇に覆われてる人を、求め彷徨っているだけだから・・・
​​女3:あなたも闇を背負っているのね。でも、レオはレオのままでいて欲しい。欲張りな願いかしら?
​​レオ:さぁ、オレは自分の事に興味がないから。適当でいい
​​女3:・・・あなたも救われる何かが見つかるといいわね。はい、これ報酬と、私からあなたへのお礼分。今の人、愛してみようと思う。自分を偽るのはやめて、それでも愛し合える人なら幸せだものね。
​​レオ:ダメなものはダメになる。ならないものは努力を惜しまないからでしょう。あなたの幸せ祈っておきます
​​女3:ふふ、ありがとう「レオ」
​​レオ:では、二度とお会いすることがない事が幸せだと願って…失礼します
​​0:レオが部屋を出て、扉が閉まる
​​ :
​​レオM:オレが生きる意味を
​​レオM:・・・ずっと探している
​​レオM:両親が三歳の時に事故死し、遺された遺産とともに母親の親戚の家に引取られた 
​​レオM:両親の記憶などほとんど残っていない
​​レオM:そして俺は引き取られた家先で、殴られ、罵(ののし)られ蔑(さげす)まされて育った…
​​レオM:両親が事故死のせいだったせいか、ある程度困らない程の遺産を受け継いで、その金欲しさに親戚に引き取られたらしいが、それを知ったのはその家を捨てた後だった
​​レオM:オレはそこでずっと虐(しいた)げられてきた…
​​レオM:性的虐待、心理的虐待、肉体的虐待…
​​レオM:それすら何かもわからないまま、生きる事が何のためなのかもわからないまま…ただ、もがいて生きてきた。
​​レオM:親戚の女の隠部を奉仕という名で舐める事を強要され、しつけという名のもとに殴られ、食べるものさえまともに与えられず…
​​レオM:満たしたい一心、死ぬことの意味もわからぬまま…空腹で立ち上がることが出来なくなる事の恐怖…
​​レオM:いつか必ず…この地獄から…抜け出してみせると…
​​レオM:一枚、又一枚。
​​レオM:仮面を身に付けることを覚えた
​​レオM:従順な僕(しもべ)
​​レオM:性の奴隷、玩具(がんぐ)、怒りの矛先。
​​レオM:ただ、死ななかった分だけ、色んな知恵も知識も得る事は出来た…
​​レオM:いつか必ずこいつを殺す…
​​レオM:同じ目に合わせてやる…
​​レオM:それがオレが生きる為の糧になったのは確かだった…
​​ :
​​0:回想 二
​​ヴィヴィ:…あなたまだ、中学生でしょ?
​​レオ:…関係ないだろ?お金が欲しいんだ、働かせてよ。
​​ヴィヴィ:小汚いカッコして何言ってるの?笑えるわ…。わざと車に当たってきておいて…出直してきなさい
​​レオ:…ねぇ。綺麗な格好なら、働けるの?
​​ヴィヴィ:あなた、ここの仕事の内容しってて言ってるのかしら?
​​レオ:知ってる。表向きの仕事に興味はないんだ。裏の仕事がしたい。
​​ヴィヴィ:…あなた、バカ?
​​レオ:バカじゃないよ?狂ってるだけ。
​​ヴィヴィ:ふぅん・・・。黒崎。この子の身支度整わせてあげてくれるかしら?
​​レオ:…お腹も減ったんだけど。
​​ヴィヴィ:生意気な子ね…。でも嫌いじゃないわ。綺麗になったら、話だけでも聞いてあげるから、まずはあなたの価値を見せてごらんなさい?化けてくるのよ?用意されたものは何を使ってもいいから
​​レオ:凄いでかい風呂…、無駄だらけじゃん。まあいいや、オレはここで勝負に負けるわけにはいかないんだ…
​​0:間
​​ヴィヴィ:やだ、自分でやったの?鏡みた?黒崎の手は借りなかったのかしら?
​​レオ:…知らない人の手に触れられたくない
​​ヴィヴィ:あはは!矛盾したこと言ってるわね?貴方が望む裏の仕事は、知らない女を抱く事よ?所詮子供ね・・・、もういいわ、その服あげるからお帰りなさい?
​​レオ:抱くならいくらでも抱くよ。自分からならいくらでも触ってやる。オレの手で動かすものはいくらだってね・・・
​​ヴィヴィ:…へぇ。面白いこと言うじゃない。じゃあ見ててあげるから、触れないから指示通りにやってごらんなさい?理解力、洞察力、見せ方、美しさ、採点してあげるわ?
​​ :
​​レオM:化粧道具、衣装、並べられたものの中から、指示をもらったものを確認しもって鏡の前で、熟していく。
​​レオM:彼女が与える指示は的確で、鏡に映るオレはまるで苦労などしたこともないような、どこか少年さを残しつつも、清々しい青年に見える格好を纏っていく。
​​ :
​​ヴィヴィ:…なるほどね。あなた頭の切れ悪くない、いや。理解力はとてもいいみたい。面白い坊やだわ、黒崎。食事の席、彼のも用意して?
​​レオ:合格って事?
​​ヴィヴィ:うぬぼれないで?あなたはまだ子供。話ぐらい聞いてあげる気になっただけよ
​​レオ:ふぅん・・・あんたの事、なんて呼べばいいの?
​​ヴィヴィ:無知って・・・怖いもの知らずね。私の事は…そうね。ヴィヴィって呼んでくれればいいわ?
​​レオ:ヴィヴィ…分かった。
​​ヴィヴィ:さあ、食事でもしましょう?坊や。
​​レオ:…これ、全部食べていいの?
​​ヴィヴィ:いいわよ?食べきれるのかしら?
​​レオ:みたことない食べ物ばかりだから。ねぇ、お願いがあるんだけど。
​​ヴィヴィ:あはは!ホント度胸はすごいわねぇ、なぁに?言ってごらんなさい?
​​レオ:オレは、綺麗な食事の仕方を知らない。今日に至るまで、食べ物を腹いっぱいに満たしたこともない。そんなオレがこの目の前の食事、食べても許される?
​​ヴィヴィ:…ゆっくり。時間をかけて一口ずつ、私も一緒に食べる事にするから、私の真似出来るかしら?
​​レオ:…ありがとう。
​​ :
​​レオM:正直美味しいのか、美味しくないのかわからなかった。
​​レオM:見たことも食べたこともない料理たち
​​レオM:彼女が口に運ぶ仕草、優雅で何を食しても美しくて。
​​レオM:食べ方の順番、道具の使い方、全てを真似ていく。
​​ :
​​ヴィヴィ:やっぱり、とても洞察力が高いのね。ねぇ坊や。あなたはいくつ?
​​レオ:・・・十五
​​ヴィヴィ:ご両親は?
​​レオ:死んでいない
​​ヴィヴィ:あらそう。どうやって生きてきたのかしら?
​​レオ:親戚に引き取られ、中学を卒業するから、それを機にすべて捨てた
​​ヴィヴィ:・・・ふふ、面白いわね。進学は?
​​レオ:オレは自分で生きる為のまずは金が欲しいんだ。学歴を手にするには金もいる。オレは全てを自分で手に入れる。
​​ヴィヴィ:…なんとなく。あなたの闇が見えたわ。ねえあなたの名前は?
​​レオ:すべて捨てた。
​​ヴィヴィ:そう(笑)じゃあ、あなたは「レオ」
​​ヴィヴィ:今日からそう名乗りなさい…
​​レオ:え?オレを雇ってくれるの?
​​ヴィヴィ:表の仕事を手伝う代わりに、私の下で、知識、学歴、作法、全てを磨きなさい。
​​ヴィヴィ:役に立たないと感じた時点で容赦なく捨てる。どうかしら?
​​レオ:…最高だよ、ヴィヴィ!
​​ヴィヴィ:でも、簡単じゃないわよ?裏の仕事ができるようになるためにあなたへ掛けるお金は、あなた自身が稼ぎだす。そのためには生半可じゃない努力も必要ね。手続きは私がしておいてあげる。
​​ヴィヴィ:今日までのあなたは、ここで死ぬ。戸籍も抹消されるわ?平気かしら。
​​レオ:構わない。
​​ヴィヴィ:あなたは今日から「音無 レオ」として生まれ変わる。いい?まずは、あなたの世界を手に入れなさい。
​​ :
​​レオM:昨日までのオレは死んだ。
​​レオM:この人は女帝「月下美人」とこの界隈で字名(あざな)を持つ人。
​​レオM:表舞台には姿を現さない、だが、ありとあらゆる政界方面にも精通していると噂され、オレがこの人と縁が持てたのは、本当に全ての幸運を使い果たした引き換えなのかも知れない。
​​レオM:出会うきっかけなどあり得ないのに、なぜこんな事になったのか。
​​レオM:それすら説明もできない
​​レオM:だが、オレは確かにこの月下美人ヴィヴィに出会い、昨日までのオレは死に、音無レオとして人生をリセットする事になったのだ
​​ :
​​0:場面転換 現在 三
​​ヴィヴィ:レオ、優秀な生徒らしいわね?黒崎から報告来てるわ。
​​レオ:ヴィヴィ、二ヶ月ぶりだ。お帰りなさい
​​ヴィヴィ:ふふ、ただいま。作法の方はだいぶ板についたかしら?
​​レオ:生きるためなら、なんでもやるよ。
​​ヴィヴィ:貪欲なのは悪い事じゃないのよ。じゃあ、レオの成長ぶりでも拝見させていただこうかしら?
​​レオ:では、夕食の手筈を頼んで参りますね?
​​0:間
​​レオM:彼女はほとんど何かを口にしたりしない。
​​レオM:ワインやアルコールを優雅に飲むだけで、食べ物はどれだけ豪華なものが並んでも手を付けたりはしない。
​​レオM:黒崎という男が皿に取り、まるで毒味の様に確認をして、その後取り分けたものだけ、稀に口にする。
​​レオM:それがヴィヴィの食事のスタイルなのだ
​​ :
​​ヴィヴィ:レオ…、とても美しいわ。この二ヶ月の間に成長したのね
​​レオ:そう言ってもらえて嬉しいな
​​ヴィヴィ:食べ方も優雅で、ナイフもフォークのマナーも完璧ね。姿勢も美しい、合格よ
​​レオ:学業の方も楽しんでいるよ
​​ヴィヴィ:それは良かったわ。かなり地盤もできたみたいだし、表の仕事もゆっくり手伝ってもらおうかしら?
​​レオ:オレはお金が稼ぎたい、でもそれ以上に今学んでいる事が大切な事だとわかってる。ヴィヴィ、こんなオレに手をかけてくれてありがとう…
​​ヴィヴィ:ふふ、勘違いしないで?あなたが存在価値を自分で示している、あなた自身で掴み取っているからよ。
​​ヴィヴィ:境遇は簡単には変えることはできない。血を吐き、世のどん底を這おうと、それを変える手立てなど簡単に起こり得ない。
​​ヴィヴィ:いつかは、などと夢を見て、今の自分を変えるための努力もせず、救われようと願うものは吐き捨てるほどいるのよ。
​​ヴィヴィ:皆闇を抱え、人には言えない孤独を抱え、どれだけ綺麗に見せていようとも、ね。
​​レオ:それはヴィヴィでも?
​​ヴィヴィ:ええ…そうね。でも、だからこそ、簡単には壊れない鎧を身にまとう。その為の知識、付け入る隙を与えないための機転、世界の動き、それら全てが鎧を強化していくための素材。
​​ヴィヴィ:レオ、あなたを守るための術は、あなた自身が手にするしかない。その為に得れるものを貪欲に手にしようとするあなたは、なんだか私に似ているわ・・・
​​レオ:なら、オレはあなたの背中をどこまでも追い詰めていく。
​​ヴィヴィ:まるで、ハンターね(笑)名前が悪かったかしら?「レオ」という名はは百獣の王の子供って意味も含む。あなたが私を狩る日が来るのなら、それはそれで楽しみでもある。
​​レオ:ヴィヴィに出会ったオレを無駄にはしない。誰よりも早く、的確に、オレの全てをかけて上ってやる!
​​ヴィヴィ:仕事で当面またここには顔を出せないけれど、次に会う時の成長を楽しみにしているわ。
​​ヴィヴィ:段取りは黒崎の方から連絡が入るから、もしわからない事があれば、黒崎に聞きなさい。
​​レオ:わかった。
​​ヴィヴィ:じゃあまたね、レオ。
​​レオ:ヴィヴィ、ご自愛を。
​​ヴィヴィ:ありがとう・・・あなたもね、レオ。
​​ :
​​ヴィヴィM:私はライオンの子を手にした。
​​ヴィヴィM:見窄らしい身体、薄汚れた顔、でも・・・
​​ヴィヴィM:生きる事への執着を宿した瞳。
​​ヴィヴィM:強い信念を宿す子供。
​​ヴィヴィM:それは間違いなく、百獣の王へと変貌を遂げる素質を持っていると感じさせられた。
​​ヴィヴィM:なぜ、彼に手を差し伸べたのか・・・
​​ヴィヴィM:自分でもよく分からない。
​​ヴィヴィM:でも彼は私が抱える闇とよく似た気配を纏い、そしてそれを憎み、それすらのみ込んで。
​​ヴィヴィM:自分の定めすら変えて見せる、そんな何かを感じた。
​​ヴィヴィM:私の元に縋るものは腐る程いる。
​​ヴィヴィM:でも「レオ」はそうじゃなかった。
​​ヴィヴィM:縋るのではなく、よこせと正面から啖呵を切ってみせた。
​​ヴィヴィM:誰かに何かを期待することなど、愚弄者そのもので。
​​ヴィヴィM:私は久々にこの手で・・・迷い込んだライオンの子供を育ててみたいと思ってしまった。
​​ヴィヴィM:彼は、成長を仕切った後…私を喰い殺す存在になるのだろうか?
​​ヴィヴィM:…それなら、それで。
​​ヴィヴィM:私の人生に楽しみが出来るというもの。
​​ヴィヴィM:あなたに与え、私はあなたから、それ以上の楽しみを手にする。
​​ヴィヴィM:早く大きくなりなさい・・・「レオ」
​​ :
​​0:場面転換 回想 三
​​レオM:ヴィヴィが携わる仕事
​​レオM:表の仕事は、まさに、世界を動かすための仕事だった。
​​レオM:「情勢を知れ」
​​レオM:突きつけられた言葉は、まさにそのままで。
​​レオM:黒崎から与えられる仕事の中身を理解していく上で、ヴィヴィの莫大な資産運用を学んでいく
​​レオM:「投資」それは、人への投資でもあり、国への投資でもあり。
​​レオM:知らない世界を知ることは、こんなにも自分を高めるための礎になってゆくのかとのめり込んだ。
​​レオM:レオになったあの日から。
​​レオM:オレは生きる事への意味を見いだせた気がしていた。
​​レオM:そうして、確かな知識、仕草、自己への投資、学問もまた然り。
​​レオM:オレは音無・レオという鎧を厚くしていく。
​​レオM:ヴィヴィのもとへ来て三年の歳月が訪れるころ、オレは初めて海外へ買い付けの仕事を任されて、空を飛んだ。
​​レオM:異国の世界は広く、だが自分という存在と向き合うには最高のチャンスでもあった。
​​レオM:パスポートは紛れもなく「音無 レオ」であり、レオとして、オレは存在を許された。
​​レオM:外国語も学んできたつもりだが、まだまだ実戦では20%程度しか、発揮できない事実も知った。
​​レオM:オレはまだやる事がたくさんあるのだと痛感し、大学への進学をヴィヴィに願うと、ヴィヴィは微笑みを浮かべて快諾した。
​​ :
​​ヴィヴィ:とても良い事だと思うわ。もしレオが望むのであれば、そのまま違う世界へ飛び出しても構わない。
​​ヴィヴィ:それはあなた自身のためにもなるでしょうし。裏の世界は入れば抜け出せない。
​​ヴィヴィ:あなたは光の世界へと歩めば良い。
​​レオ:ヴィヴィ。オレの望みは、オレが叶える…。
​​レオ:ヴィヴィは、生きる術を教えてくれた。感謝している。でも、オレはあの時から、どれだけ鎧を纏っても、心底に眠るオレの闇をオレ自身で打ち破らなければ、本当の意味で変わることはできないんだ。
​​ヴィヴィ:・・・そう。あなたがそう思うのなら、反対もしないわ。その代わり。相当の覚悟をしておいて?18の誕生日が来たら、さらに裏の勉強を始めましょう。。。あなたにとって、苦痛と悲しみで潰れない事を願うわ。
​​レオ:大丈夫、オレはそれすら、自分の手で超えてやる。
​​ヴィヴィ:素敵な・・・覚悟、ね。
​​ :
​​0:場面転換 現在 四
​​ヴィヴィ:レオ、先ずは18歳のお誕生日、おめでとう。早速だけど・・・始めるわね
​​レオ:ありがとう・・・ああ。お願いします
​​ヴィヴィ:黒崎、あの子を連れてきて。
​​ヴィヴィ:・・・レオ、私と黒崎の前でこの子に奉仕をしなさい。
​​レオ:・・・ヴィヴィと黒崎の前で?
​​ヴィヴィ:そうよ?できなければそれで終わり。あなたが思うより、この仕事は生半可じゃないわ。
​​レオ:・・・わかっている。彼女の名前は?
​​ヴィヴィ:名前など呼ぶ必要はないわ…。彼女を救い、感じさせる事ができれば、第一段階として合格なだけ。
​​レオ:・・・彼女がそれを了承しているならオレはやるさ。
​​ヴィヴィ:もちろんでしょう?裸であなたの前にたっているのだから。
​​
​​レオM:白い肌をそっと口付けをしながら、二人の目が無感情のまま見つめる中で、オレは身に纏っているものを脱ぎ捨てていく。
​​レオM:彼女を座らせ足を開かせると、顔を埋め、舌先でゆっくりと舐めていく
​​レオM:だが、彼女の目は虚(うつろ)なまま、全くの反応を示さない
​​レオM:白い乳房を優しく触れようが、微動だにもしない
​​レオM:まるで人形を抱いている、そんな感じを受ける
​​
​​ヴィヴィ:・・・レオ。もう良いわ。あなたは失格よ。
​​レオ:ちょっと待って、ヴィヴィ。抱くって意味をオレなりに捉えて良い?
​​ヴィヴィ:・・・言ったわよ?救いを感じさせれれば合格だと。
​​レオ:そうか・・・、わかった。
​​ :
​​レオ:「あなたの手でまずオレに触れて?」
​​レオM:彼女の手をゆっくりと、オレの顔、髪、首筋、身体へと手を添えて触れてもらう。
​​レオM:決して嫌がる素振りもない。従順にオレに触れていく彼女。
​​レオ:「オレは、触れられる事が怖いんだ・・・。自分が否定される存在と認識させられる気がして。だからあなたの掌でオレを救って?」
​​レオM:その言葉を彼女の耳元で伝えた時、彼女の体が微かに揺れた。
​​レオ:「・・・そう、そこはオレの脇腹、それはオレの胸筋、うん・・・あなたの手、とても気持ちいい・・・」
​​レオM:オレの添えた手をそっと外しても、彼女の手はオレの肌から離れず、ゆっくりとオレの肌の上を滑っていく。
​​レオ:「ああ、優しい温もり・・・、そこは・・・まだ・・・っ」
​​レオM:彼女の手がオレの下腹部を通り過ぎ、まだ硬さを伴わない部分へ落とされた。
​​レオ:「・・・大丈夫、何もしなくて良いんだ、そこは・・・」
​​レオM:だが、彼女はそっと下腹部へ口元を動かし、ゆっくりと舌先を動かし始めた
​​レオ:「・・・うぅっ・・・そうか、あなたは・・・奉仕することで昂るんだ・・・わかった…。あなたが望むままに、そこを・・・愛して?」
​​レオM:さっきまで人形のようだった彼女が嘘のように、ゆっくりと体の体温を上げながら、オレ自身を無心に奉仕をする。ゆっくり、時に激しく、吸い尽くすように。
​​レオM:そして時折、オレの体が跳ねると、嬉しそうな表情を浮かべ、目線をしたから上向いて見つめる。
​​レオM:オレは彼女の頭を優しくなぞり、されるがまま受け止めていく。
​​レオ:「あぁ・・・すごく素敵だ・・・ほら、もうこんなに、なってしまった・・・あなたを汚したくないから、顔を上げて?」
​​レオM:だが彼女はそのままの状態で、小さく首を降り拒絶する。
​​レオ:「大丈夫、オレは怒ったりしない。イクことだけが全てじゃないんだ。あなたの心もオレにみせて?」
​​レオM:その言葉にそっと口を離した彼女の体と共に、ベッドに横たわり、お互い向き合う。
​​レオ:「あなたが触れて欲しい場所…手でオレの体に触れて教えて?」
​​レオM:彼女が触れてくる場所と同じ場所をゆっくりと真似るように触れる。
​​レオM:優しく触れられれば優しく、爪を立てられればそっとオレも立てる。
​​レオM:彼女の思いが掌を伝わって、流れ込んでくる。
​​レオ:「ああ・・・触れているだけで、身体が研ぎ澄まされていく・・・」
​​レオM:無表情だった彼女はゆっくりと吐息を吐き出し、甘い声が混ざり始める
​​レオM:オレの手で、ゆっくりと体温が上昇していく体。
​​レオM:肉体的なものである。だが、心の中にある見えない何かを包み抱く・・・そんな感覚。
​​レオ:「あなたの闇を、オレにみせて?オレ自身の闇もそれを知ることで救われるんだ・・・」
​​ :
​​レオM:最初は刺さるような二人の視線が気になっていたが、それすら忘れるほど、この湧き起こる感覚に飲み込まれていく・・・。
​​レオM:彼女が涙を流しながら抱きつくその腕を、強く抱き返し、彼女が望む世界を一緒に沈んでは浮き上がる。
​​レオM:より一層激しさを増す声と共に、彼女が自由に動くのを受け止めながら、溢れるしずくと共にオレたちは闇の先を求め、果てた。
​​レオM:まどろみそうになる意識の中で、鋭さを増した視線が絡みついて、その方向に視線を向けると、ヴィヴィが無表情のまま鋭い視線を投げかけている。
​​ :
​​ヴィヴィ:・・・レオ。合格よ。シャワーを浴びて支度をして頂戴?
​​レオ:・・・彼女は?
​​ヴィヴィ:気にしなくていいわ。彼女が望んだことなのだから。
​​レオ:・・・わかった。でも少しだけ待って。
​​ヴィヴィ:・・・ええ。
​​レオ:「あなたの闇を見せてくれてありがとう、あなたは一人でその闇を抱えなくていいんだよ」
​​レオM:オレは横たわり息を整える彼女の耳のとにそっと囁いてその場を立ち去った。
​​ :
​​ヴィヴィM:レオは初めてながらに人が封じ込めている闇に触れ、相手と溶け込んでみせた。
​​ヴィヴィM:本当ならば彼はこの世界に染まる必要などない。
​​ヴィヴィM:人の闇を取り込み共有する素質など、言葉を返せば異種の素質であり…、計り知れない闇を背負っている証でもある。
​​ヴィヴィM:人の業など…薄汚く、罪深い。
​​
​​ヴィヴィM:だからこそ、レオは間違いなく、闇の世界から愛されるのでしょう。
​​ヴィヴィM:そうなりたくてなったのではなく、そう成らざるを得なかった。
​​ヴィヴィM:それを受け入れなければ死するのみ…。
​​ヴィヴィM:貴方もその世界を這い上がり、私の闇と同じように…。
​​ヴィヴィM:彼が施す世界を冷酷に眺めながら…私は不覚にも忘れたはずの疼きが身体を走った。
​​ :
​​ヴィヴィ:「レオ…怖ろしい子ね。でも早く…ここまで上り詰めなさい。私がここにいる間に…」
​​ :
​​ヴィヴィM:星さえ光を失うほどの夜のネオンが眩しい不夜城の街を、次のアポへと向かうヘリから見下ろしながら…呟いた私は、火照る身体を独り慰めた。
​​ :
​​0:続く
​​
​​

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